京町家は間口が狭くて奥行が長く、隣の家との間隔が狭い町屋は、風通しが悪くなりがちです。そこで、建物の中央に中庭を設えれば、家の中に空間が生まれますから、風通しが良くなります。中庭に面した部屋に光が射しこみ、日当たりも良くなりまた、両隣を隣家の壁に囲まれていても、中庭に草木を植えれば、家の中にいながら自然の緑と四季の風景を楽しむことができます。中庭は家の壁に囲まれているため、よその人に覗かれることなく、庭を眺めてくつろげます。プライバシーを守りながら、自然の光景と開放感を、家の中にいながらにして得ることができる、素晴らしい工夫と言えます。
京都は盆地で夏暑く、冬寒いと言われています。夏を涼しく過ごす工夫が京町家にはいろりとあります。例えば、中庭に水を撒くことで気圧の変化がおき風がおこり涼を感じるというものです。
もともとこの町家の中庭には岩を組んだ斬新なアート作品のような築山があり、噴水のような水を上から流していたような痕跡がありました。水は万物を生み出すもとであり水のせせらぎの音を聞くと心が落ち着き、滝などの水の落差があるところにはマイナスイオンが発生すると言われています。心に潤いが得られ癒やしの場としたいと思い、岩を組み直し井戸を掘って清らかな水がてっぺんにあるつくばいから常に流れるようにしました。
井戸水は一年を通じて21度くらいで夏場の蚊の発生をおさえますし、冬も冷たすぎないのでメダカなどを飼おうと計画しています。
先日池の掃除をしていましたら、ヤゴがおりました。中庭には蜘蛛がいて取っても取っても次の日にはまた新しい蜘蛛の巣が張られています。元気な蜘蛛です。街中にあってもまだまだ自然が残っていてほっとします。